研究概要 |
最初に、これまで標準経済学の理論展開の中で十分に吟味されたことのないジョジェスクレーゲンの消費者理論を持続可能性の問題に関連付けて詳細に検討した。具体的には、次の12項目である:(1)ヴォルテッラのパラドックス;(2)欲求の階層性;(2)辞書式順序;(4)比較可能性と順序学派の辞謬;(5)貨幣の限界価値;(6)欲求を同一次元で表現することの可否;(7)方向的選択と不可逆性;(8)非選好方向の継続;(9)選好の移転原理;(10)効用の測度;(11)推移律と積分可能性;(12)2項選好。 本研究で得られた成果の主なものは次の2点である。 1 飽和領域(それが閉凸であることば証明されている)における消費者理論を構築した。そこでは、新古典派資源環境経済学で仮定されているような一般的な効用関数は存在しないことを示した。 2 線型連続列は次の3つの公浬を満たす:(1)デデキントの公理;(2)密度の公理;(3)線型性の公理。辞書式順序はこのうち、線型性の公理を満足しないことを証明した。人間に消費される環境財の多くは辞書式順序を持つカテゴリーに属する。このカテゴリーの財には標準的な効用関数を定義することができず、CVMを利用することができない。 研究成果は次の国際会議で発表された。専門雑誌にも投稿する予定である。 1. Mayumi,K.“The Foundations of Consumer Choice Theory and Environmental Valuation",Nicholas Georgescu-Roegen's Scientific Work,Strasbourge,France, Nov.6-7,1998. 2. Mayumi,K.“Georgescu-Roegen's Consumer Choice Theory and Its Relevance to Sustainability Issues" ,The Fifth Biennial ISEE(International Society for Ecological Economics)Conference,Beyond Growth:Institutions and Policies for Sustainability,Santiago,Chile,Nov.15-18,1998.
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