研究課題/領域番号 |
09630020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
二神 孝一 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30199400)
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研究分担者 |
大日 康史 大阪市立大学, 経済学部, 助教授 (60223757)
大日 康央 大阪市立大学, 経済学部, 助教授
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 研究開発投資 / 特許 / 模倣 / 経済成長 / 経済規模 |
研究概要 |
企業の新しい質の財を開発する誘因は、それを開発したことで市場を独占することによる利潤であるが、開発した製品をコピーされると同じような財が市場に供給されることになり、当初獲得していた独占の地位を奪われることになる。よって、新製品のコピー活動は新製品を開発する誘因を減少させるだろう。さらに、家計が財の質の向上とともに財のバラエティの多さに対しても効用を感じているときには、新しい質の財から得る効用は、それまでの段階で存在した質の財のバラエティの多さによって制限を受けてしまう。したがって、新しい質の財を開発して独占の地位を獲得しても、それによって得る独占利潤は旧製品のバラエティの多さによって制限を受ける。本研究ではこのような要因を考慮に入れたモデルを構築した。 そのようなモデルで、本研究では次のような結果を得た。第1に、経済の規模の拡大は新製品に対する開発に誘因を増すが、同時に財のバラエティも増やすために新しい質の財を開発する誘因を全体として下げてしまうことが有り得る。よって、小さな規模の経済が成長するのが困難であるのと同様、大きな市場を持つ経済が早く成長するとは限らない。第2に、特許制度を厳格に適用することでコピーの容易さを低下させると、コピー活動への資源配分が減少させ、それを新製品の開発に向けることができる。したがって、先の市場の拡大と同じような効果を発生させる。すなわち、特許の適用の厳格化は新製品の開発を遅らす可能性もあるのである。また、特許の長さが経済成長、経済厚生に与える影響について以下の結果を得た。第1に、特許の長さを延長し保護期間を長くすると経済成長率は大きくなる。第2に、時間選好率が小さく家計が近視眼的でないとき、また、技術進歩の程度が大きいとき経済厚生上は特許の長さについて最適な期間が存在する。
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