研究課題/領域番号 |
09630042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
竹野 忠弘 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80216928)
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研究分担者 |
コンダカル ミザヌル・ラーマン (ラーマン コンダカル・ミ / コンダカル ミザヌール・ / コンダカール・ミザヌール ラーマン) 日本福祉大学, 経済学部, 助教授 (10281487)
小井川 広志 名古屋学院大学, 経済学部, 助教授 (50247615)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 人材開発 / 開発政策 / 技術移転 / 技能育成 / 雇用政策 / 人事労務管理 / アジア経済 / 工業化 |
研究概要 |
本研究の目的は、人材開発政策や同活動が経済成長に及ぼす効果を確認し、同政策や同活動の効果を積極的に評価することにあった。併せて人材開発関連投資の収益率を評価する方法を検討することにあった。 人材開発活動による学歴向上が上位職種への異動や就職可能性を向上させることから、家計にとって人材開発活動は所得向上効果をもつことが香港の事例検討から明らかにされた。しかしながら、付加価値生産性の増加は、労働力の質的向上による物的な生産効率の上昇のみではなく、昇任、昇格や転職、および生産物価格の上昇、賃金水準そのものの上昇によっても生じることから、人材開発政策の投資効果は数量的には検証できなかった。 人材開発政策・活動においては、労働供給構造を調整し労働力人材需給のミスマッチを是正する効果が期待されていることが事例検討から指摘できた。しかしながら、人材開発投資額や失業率の是正効果を数量的に特定することは困難であり、人材開発の労働力人材需給のミスマッチ是正効果を数量的検証するには至らなかった。 国際的労働力人材需給のミスマッチ是正の経営手法として、「国際的中堅管理職人材」育成戦略が事例研究において指摘できた。同戦略は、東南アジア地域内の企業内拠点間を異動しながら各拠点や各国を自律的単位として経営する人材の育成を行う戦略であり、国際分業と人材の現地化とを媒介する活動として注目される。 今後は、一方で、A・センの開発論に着目して、人材開発が、労働力需給のミスマッチを是正し就業を促進することによって所得向上をもたらす効果について、理論の検討を行うとともに、同効果を統計的に検証していくことにしたい。他方、欧米における「経営者人材育成カリキュラム(Management Development)」研究を参考にしながら、「国際的中堅管理職人材」育成戦略概念を発展させていきたい。 なお、本研究は、世界銀行がその報告書『東アジアの軌跡(1993年)』において、アジア地域の経済成長にとって人材開発投資が効果的であったと評価したことに注目して開始された。しかしながら、本研究初年度の1997年夏にアジアで通貨危機が発生し、以降本研究期間全体を通じて、アジアは経済危機に見舞われた。人材開発政策の成長への効果を問う以前に、東アジアの「経済成長の質=労働生産性の向上」そのものへ疑問が改めて提起された。アジアの成長は資本投入によるとする見方が再度注目され、東アジアにおける教育投資の成長への効果が疑問視された。アジア経済危機を単に通貨的要因による国内経済の混乱とみる見解もあるが、本研究では横並び工業化開発政策による資本設備過剰の結果と捉え、過剰生産能力の域内統廃合過程の進展について整理した。同過程の人材開発活動への影響については今後の検討課題としたい。
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