研究課題/領域番号 |
09630061
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
鵜飼 康東 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70098101)
|
研究分担者 |
藤木 裕子 (西島 裕子) 早稲田大学, アジア太平洋研究センター, 助手 (50308251)
青木 博明 阪南大学, 経済学部, 助教授 (20212376)
渡邊 真治 (渡辺 真治) 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (80254449)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
|
キーワード | 銀行 / 情報システム投資 / クロスセクション分析 / 公表財務諸表 / パネルデータ分析 / 情報開示 / 要因分析 |
研究概要 |
平成9年に、われわれは平成7年の郵送アンケート調査に基づき、被説明変数を銀行のシステム開発費、説明変数を預金残高、さらに、被説明変数を純利益、説明変数をシステム要員1人当たり開発費として、27銀行のクロスセクション分析を行い、正の傾きを持つ2本の回帰線を推計した。いずれも95パーセント水準で有意であった。 平成10年と11年にわれわれは公表財務諸表にソフトウェア資産を記載している銀行の比率が5割に過ぎず、ソフトウェア資産と最も正の相関が大きいのは従業員数であることを発見した。 平成12年に、われわれは面接および郵送アンケートにより得られた企業データを使用して、パネル分析を行った。ただし、各銀行のデータを精査して、平成7年、平成8年および平成10年の33銀行のデータを用いた。この結果、ハードウェアとソフトウェアを合計して推計すれば、銀行の1円のコンピュータ資本が約10円の市場価値と関連づけられることが判明した。 われわれの分析の結論は、金融技術革命に関する通説を覆すものである。すなわち、第1に、コンピュータのハードウェアとソフトウェアの投資が銀行の市場価値に及ぼす正の影響はさほど大きくはない。その数値は米国製造業における数値と大差はない。したがって、情報技術革命に業種による格差は見られない。第2に、かつて米国のマクロ経済学者が主張したようにコンピュータ投資が銀行の利潤や生産性に及ぼす影響が非常に小さいわけではない。したがって、日本の銀行では「生産性の逆説」は生じてはいない。第3に、米国の経営学者を中心とするコンピュータ投資の効果の計測結果は過大評価である。われわれのように、コンピュータ投資総額にソフトウェア資産を算入して推計すれば、日米の情報技術革命の効果に大差はないと結論づけることができる。したがって、日本金融業の設備投資は情報技術革命に決して遅れをとってはいない。
|