研究概要 |
1. 高度情報社会における交通需要:従来,交通と情報とのあいだには「補完」「競合」「相乗」の3つの関係があるといわれてきた.ここでは,これらの関係をさらに細かく精査し,新しい関係の発見に努めた.また,流通・交通・通信の3者間の関係についても考察し,それぞれが競合しながらも協調できる可能性があることを指摘した.それぞれが市場を奪い合うことなく,連携によって新しい市場開発もありうることを示した.ただ,交通政策の重要な目的となってきた環境対策面からは自動車交通への金銭的チャージが,技術革新の支援もあって現実的になりつつあり,市民の反応についてもシミュレーション分析した. 2. 時間をめぐる環境変化と時間空間における交通行動およびTime Use分析:勤務時間の短縮化および弾力化を背景として多様な勤務形態が顕在化しつつある.また,日常生活においても余暇時間の増大や各種時間サービス(時間節約型および時間消費型)の普及,さらに学校の週休2日制の普及,これらの細かい変化を記述し,交通との関係を精査する必要がある.ここでは,それを「時間」に着目して,時間利用という視点からアンケートデータをベースに因果関係の分析を試みた.同時にそれらの時間的変化はもちろん各種の動的な変動過程を形成していることに鑑み,甲府買物パネルデータ等の長期的な経時的データにより動的な土俵(世帯のライフサイクルおよび流通産業の環境変化に対応)で分析し,その知見を集約した.
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