研究概要 |
ワーク・ファミリー関係論の既存研究は、ワーク変数とファミリー変数の間の関係が正相関的にも負相関的にもなり得ることを示しているにとどまり、研究の余地が多く残されている。本研究は、両生活領域間の関係が個人的特性またはパーソナリティー要因によっていかにモデレートされ得るかについて分析を行った。以下は、研究の結果得られたいくつかのユニークな発見である。 1.仕事生活と家庭生活の両方を人生における非常に重要な生活領域であると認識し,かつ,自らの人生の舵を自分自身でとろうとする傾向の強い人々はそうでない人々に比し両生活領域に対する態度を正相関的に関連させる傾向が高い。 2.ファミリー・ワーク・コンフリクトは、仕事生活で体験する満足感に対しネガティブな影響を与える傾向がある。しかし、この傾向は特に男性について顕著であり、女性にとっては有意な傾向とはいえない。 これらの知見より、仕事生活と家庭生活の関係に影響を及ぼすモデレータとなる要因を探索していくような研究が今後重要となってくること思われる。
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