研究概要 |
本研究では、特異多様体の代数的交差について次の2通りの方法で研究を行い、それぞれ以下の研究諸成果を得た。 1.Bivariant sheaf理論:特異多様体XはそのChow群が非特異多様体のChow群と同様に環構造を満たすとき、Alexander schemeと云われる。Cを代数多様体の圏に固有写像を開集合とする位相を入れたトポスとする。このトポスCを用いて、各代数多様体のBivariant sheafの理論を構築した。代数多様体XがAlexander schemeであるためは、H^1(X,A)=0であることが必要十分であることを示した。ただし、AはXのBivariant sheafである。更に、代数的サイクル理論の最重要問題であるモチーフの有限次元性に関連して上記結果を拡張するためBivariant sheafの高次コホモロジーの研究に着手し、コホモロジーを具体的に計算する為の道具であるHyper Coveringの理論を構築した。 2.ベクトル束の分解問題:ベクトル束領域の最重要課題である射影空間上のベクトル束の分解問題に関して次の2つ結果を得た。(1)Eを射影空間P^n(n【greater than or equal】4)上の階数2の非常に豊富なベクトル束とし、XをEの切断達により定義される行列式多様体とする。Eの行列式多様体達のなすHilbert schemeの構造を解析することにより、Eが線束の直和であるためにはH^1(P,End(E))=0であることが必要十分であることを示した。ただし、PはP^nに含まれる4次元または5次元の線形部分空間である。(2)Eが線束の直和に分解するためには、dimH^1(X,Ox(-rZ))【less than or equal】O(r^1)(r≫0)であり、かつdimH^i(X,Ox(-rZ-sH))【less than or equal】P_i(S)(r,s>0),(1【less than or equal】i【less than or equal】dimX-1)であることが必要十分である。ただし、Z,Hは行列式多様体Xに固有な正因子であり、P_i(s)はrに依らないsの多項式である。
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