研究概要 |
1. (神戸大学・高山信毅教授との共同研究)(3,6)型超幾何関数の満たす微分方程式系は射影平面上の6点の配置空間にあると見なされるが,この配置空間の2種類のコンパクト化を取り扱い,両者の間の関係を調べ,またもとの微分方程式系の局所的な基本解を構成した. 2. (九州大学・吉田正章教授との共同研究)Naruki's cross ratio varietyは射影平面上の6点の配置空間のコンパクト化と見なせる.この多様体の性質を使って,実射影平面上の6点の配置空間,それは実射影平面上の6直線の配置空間と同じだが,を調べた.特に,実射影平面上の互いに異なる6直線の配置は4種類あることが知られているが,それらをE_6型ルート系による解釈をあたえた. 3. 実射影平面の7直線の配置とE_7型ルート系との関連について調べた.Naruki's cross ratio varietyの類似を実射影平面の7点の配置空間に対して構成できるが,それをこの研究に応用した.実射影平面の互いに7直線の配置空間はR^6からいくつかの超平面の補集合と同一視される.この集合はいくつかの連結な開集合の和になる.それぞれの連結な開集合においては問題の7直線の配置は同じになる.これらの連結成分とE_7型ルート系のある組み合わせ論的な対象,テトラダイアグラムと呼んだが,と対応させることができることがわかった. 4. (武庫川女子大学・福井哲夫助教授との共同研究)実射影平面の8直線の配置とE_8型ルート系との関連について調べた.6直線,7直線の配置の場合の成果にあたるものをこの場合に求めることを目的とした.実射影平面の8直線の配置とE_8型ルート系のあるダイアグラムと対応させることができることがわかった.6直線,7直線の配置の場合には分類できているが,この場合にはまだそれが知られていない.これを成し遂げることは今後の課題として残された.
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