研究分担者 |
長谷川 雄之 日本学術振興会, 特別研究員 (30287982)
足立 恒雄 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60063731)
小松 啓一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80092550)
加川 貴章 早稲田大学, 理工学部, 助手(平10) (90298175)
尾崎 学 早稲田大学, 理工学部, 助手(平9) (80287961)
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研究概要 |
1994年にWiles-Taylorにより有理数体上の楕円曲線の「谷山-志村予想」が半安定な場合に解決され, 応用としてフェルマーの最終定理(予想)が証明されたことは整数論の歴史に輝く画期的な展開であった. 本研究に先立ち我々は, ある種のQ上のアーベル多様体にWiles等の結果を拡張し, その応用として代数体上のQ-curveや, 四元数乗法をもつ(QM型)種数2の代数曲線について, 「谷山-志村予想」を証明した. 本研究は, 上記の結果を適用できる代数曲線を具体的に構成し, その数論的性質を調べるという課題を組織的に遂行したものであるが, 十分に満足のいく成果が得られたと信ずる。主要な結果を数点挙げると ・Q上の種数2の代数曲線Cでそのヤコビ多様体が非自明な自己準同型を持つものの族をいくつか構成し, GL(2)-型となるものを多数見い出し, それ等に対して「谷山-志村予想」を検証した. ・逆に, 重さ2の保型(尖点)形式(new form) f(z)でそのFourier係数の生成する体が2次体Kであるものに対して, 対応する志村のアーベル曲面A(f)/Qについて, Q上の種数2の代数曲線でヤコビ多様体がA(f)とQ^-上同種なものを具体的に求める, という問題を研究し, K=Q(√<-5>), Q(√<-1>)となることが知られている11個の例について解答を得た. ・楕円曲線の二重被覆をなす種数2の曲線の最も一般的な方程式を, 7個の自由パラメータを持つ族として得た. この特殊化により, 曲線属C(j)で, そのコビ多様体が2次体Q(√<j-12^3>)上ではj-不変量がjに等しい楕円曲線(Q-曲線)の積に分解するものを具体的に構成し「谷山-志村予想」を検証した.
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