研究概要 |
1. Figueiredo, GoncalvesとShirvani[J. Algebra 185(1996),298-313]は次の定理を発表した.kを可環体,K=k(t)をk上の有理関数体R=k(t)[x;θ,Ψ]を歪多項式環,θはKのk-自己同型,ΨはKのθ-derivationとする.DをRの商体とすれば次の事が成り立つ.(i)θが無限位数であれば,Dはk-自由群環をもつ,(ii)θ=1,Ψ≠0でcharK=OならばDはk-自由群環をもつ.(iii)その他の場合は DはPI-環である. この定理は本研究の目的の第一歩である,有理関数体k(t)上の歪多項式環R=k(t)[x;θ,Ψ]の商体が自由群を持つという事を含む.証明はまだ完全には理解できていない.定理の証明は,歪多項式環R=k(t)[x;θ,Ψ]の商体が自由多元環を持つことを証明し,そして歪多項式環R=k(t)[x;θ,Ψ]の商体R=k(t)[x;θ,Ψ]に歪多項式環R=k(t)[x;θ,Ψ]の次数から,自然に付値をいれることができることから自由群環の存在をしめしている. 2. 斜体の自由群だけではなく斜体のfree objectの研究へ発展した.特に中心上無限次元の斜体の付値についての研究をした.次の様な事がわかった. (1) 中心が無限体で中心上無限次元の斜体が完備な離散付値を持てばCohnの2変数のfree fieldをもつ.特にこの場合には自由群をもつ事がわかる. (2) 2変数(変数は可算であってもよい)のfree fieldにはいろいろな離散付値がある事がわかる.また離散的でない付値も構成できる. 3. これからは斜体の付値についての研究を行いたいと考えている.具体的にはWeyl algebraの商体やfree fieldの付値を決定すること等である.またこれらの結果をTits等の様に斜体上の行列群等に応用したい.
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