研究分担者 |
伊藤 仁一 熊本大学, 教育学部, 助教授 (20193493)
河合 茂生 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (30186043)
町頭 義朗 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (00253584)
片山 良一 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10093395)
小山 晃 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40116158)
高嶋 恵三 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00137184)
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研究概要 |
Riemann多様体の各種コンパクト化の比較検討を行った.その中でRiemann幾何の観点からもっとも自然なコンパクト化として,距離関数を利用したGromovのコンパクト化を主に分析した.Gromovはコンパクト化した際に付加される部分を理想境界と読んでいる.本研究では,以下の空間の理想境界の構造を決定した. 1. 楕円放物面のコンパクト化は2次元球面で,理想境界は閉区間である.その両端はBusemann関数である. 2. 2本の放物線で囲まれた平面領域n枚(【greater than or equal】3)からなる曲面のコンパクト化はn角形領域で,理想境界はBusemann関数を頂点とするn角形である.(n=2がMar 3. 回転放物面で囲まれた3次元領域のダブルとしてできるAlexandrov空間のコンパクト化は3次元球面で,その理想境界は閉区間である.その両端はBusemann関数である. 上記の分析から,理想境界ではBusemann関数がその骨格をなすのではないかとの予想を得た.ところで,理想境界の点(無限遠点)は関数として実現されているので,2点間の距離として関数の差のノルムを考えることができる.このノルムの意味でBusemann関数が理想境界の最大直径を実現していることが認められた. また,有限の位置にある点からは,無限遠点に対応した関数の勾配ベクトル場から決まるrayが出ている.これが通常の最短測地線に相当するものと見なされる.この意味で理想境界上の点の最小跡を分析すると,上のrayとそのBusemann関数との対応付けにおいて連続性の崩れる部分を最小跡と見なすのが自然であるとの結論に至った.この定義の正当性の分析が今後に残された課題である.
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