研究概要 |
ケーリー代数の積構造を用いることにより6次元球面上には,等質な概エルミート構造が存在する。この概エルミート構造に関して接空間がこの構造で不変な部分多様体に関する研究を行った。まず,等質な概エルミート構造の自己同型群が例外型14次元単純Lie群G_2であることに注目し,橋本,古田は,この種の不変部分多様体に対応するグラスマン束の部分束の等質空間としての表示を与えた。次に各不変部分多様体の構成方法とG_2合同類に関する不変量の研究を開始した。 1. 橋本はJ-holomorphic curveに関して,3次元ユークリッド空間内のフレネ-セレの公式に対応する公式を導き,G_2合同類に関する不変量の表示を得た。また,局所的な存在定理も得られた。さらに,R.L.Bryantによるsuper-minimal J-holomorphic curveの構成について,より幾何学的に明白な形で表現を与えた。 2. 橋本,間下は共同でJ-holomorphic curveの第一法束と第二法束のtubeについて考察し,3次元totally real submanifoldと3次元CR部分多様体となるための同値条件を与えた。 3. 3次元CR-部分多様体に関しては,関川氏による具体的な構成があるだけで,ほとんど例が知られていなかった。橋本,間下は共同で,この例の一般化を与え,さらに,6次元球面内の3次元等質CR-部分多様体が大量に構成できることを示した。このことにより,6次元球面内の3次元CR-部分多様体の理論を構成する基盤が得られた。G_2合同類に関する不変量に関する考察も行った。 4. 4次元の場合,6次元球面内の概複素部分多様体が存在しないので,自明でない6次元球面内の不変部分多様体の可能性は,4次元CR-部分多様体のみである。このような例は,現在までその存在が確認されていなかったが,大量に構成できる方法を橋本,間下が共同して発見した。6次元球面内の4次元CR-部分多様体の理論を構成する基盤が得られた。
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