研究概要 |
研究代表者,糸川 銚は,塩浜勝博氏との共同研究において,正断面曲率を持つ完備非コンパクト多様体の中の完備極小部分多様体は必ず非有界な像を持つことを示し,同結果はDifferential Geometry and its Applications誌に掲載予定である.研究代表者は曲率が正ではなく非負で,かつ有界な像を持つ完備極小超曲面を持つ場合に関して部分的結果も得たが,これについては現段階で発表すべきか,更に考察を続けるべきか,現在思案中である.また,小林亮一氏と共同研究では,非負リッチ曲率を持つ完備非コンパクト多様体のn-1次元ホモロジーを,断面の"大きさ"の増大度に関する比較的弱い条件の下に決定した.同結果は論文Minimizing currents in open manifolds and n-1 homology of nonnegatively ricci curved manifoldsにまとめられ,現在投稿中である. 研究分担者,西原 賢は,複素局所凸空間E上の有界集合上弱連続な整関数fはEのbidual空間E"まで拡張できるかという研究を続け,論文On extensions of holomorphic functions in infinite dimensional spacesをProceedings of the Sixth International Colloquium on Complex Analysisに発表した.現在もこの研究を続け,Eの擬凸近傍の構造を研究中である. 研究分担者,西畑 伸也は双曲型と楕円型のカップルした偏微分方程式系を研究し,エントロピー関数の存在と系の対角化可能性が同値であることを示した.この条件の下に,古典的手法が使え,短期の解の存在が示せる.また,安定性条件を仮定すれば,長期の解も存在し,t→∞とするとき,それが定性解に収束することも証明した.
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