| 研究概要 |
1.山ノ内(代表者)は,まずコンパクトカッツ環の作用について研究を進め,作用の分類のための道具として,このような量子群の作用に対するコンヌスペクトルの概念を導入した。同時にこのスペクトル集合が完全(full)であることは附随する接合積が因子環であることと同値であることを証明し,このスペクトル集合が作用の挙動を大きく支配していることを明らかにした。次に,コンパクトカッツ環の作用が極小的であるときは,それが支配的(dominant)になることを示し,さらにこのような作用が引き起こすガロア対応について研究した。一方,カッツ環の範疇には属さない量子群(q-変形量子群等)を作用素環を土台とした量子群の範疇で捉えるために,擬ヴォロノヴィッツ環の概念を導入し,このクラスがq-変形のみならず局所コンパクト群のmatched pairからTakeuchi-Majidの手法によって構成される量子群を含むことを証明した。
2.関根氏(分担者)は,1で述べたようなコンパクトカッツ環作用による接合積の因子環性の特徴付けを山ノ内とは違った観点から与え,良く知られた古典的な定理の一般化に成功した。
3.岸本氏(分担者)は,C^*-環への群作用に関して独自の研究を行った。特にRohlinの性質を満たす自己同型に注目しその解析に成功した。その結果,単純,実階数0,AT-環上の自己同型写像がいつRohlinの性質を持つかということを,様々な条件で特徴付けた。また,上のクラスのAT-環上にはRohlinの性質を持つ1径数自己同型群が構成できることを証明し,それによる接合積がまた単純,実階数0,AT-環になることも明らかにした。また,勝手な単純次元群の組みは,単純,実階数0,AT-環およびそれ上の1径数自己同型群による接合積のK-群として実現できることを証明した。
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