研究概要 |
球対称な係数を持つ非線形退化楕円境界値問題についてその連続な粘性解は存在し球対称解に限るか否か、を中心に研究を行った。われわれの考察した偏微分方程式は次のような形をしている。ただし、領域は、有界なN次元球である。 -g(|x|)Δu+f(|x|,u)=0 and Dirichelt problem ここでg(|x|),f(|x|,u)は連続,gは非負な関数で,fはuに関して狭義の単調のみを仮定する。 まず有界な領域において考察した。新しくstandard viscosity solution(g=0なるxに対してu(x)=φ(x)すなわちf(|x|,u(x))=0)という概念を導入し、この解に限れば解は存在し球対称解に限ることが証明された。 また、上の条件に加えgにある積分条件(gの零点を含むいかなる近傍においてもg^<-1>の積分は発散する)を課すと、連続な粘性解は一意に存在しその解は球対称解であることが示せた。またこの条件は、連続な粘性解は一意に存在するための必要十分な条件であることも示すことができ、この粘性解は球対称解であることも示せた。このTypeの方程式では連続な粘性解の一意存在の条件は、我々の条件がぎりぎりの物であると考えている。 これは、O.J.Mに掲載される。 次に非有界な領域において、無限遠点である種の境界条件を満たす連続で非有界な粘性解の考察した。連続な粘性解が存在するか否か(存在しない境界条件もある)一意はどうか、またその解は球対称解であるか否かの問題に対し、解が無限大にゆく速度を多項式の位数で分類することにより、無限遠点での境界条件のいれかたを明らかにした。ただし、この場合においては、g,fに十分な滑らかさを仮定している。 また準線形半線形退化楕円境界値問題についても考察した。ここでは、g(|x|,u),f(|x|,u)は連続、gは非負な関数で、fはuに関して狭義の単調のみを仮定する。また連続な陰関数が存在しその関数にある意味での滑らかさを仮定した。このとき連続な球対称な粘性解の存在を保証した。一意性に関してはgとfにf/gがuに関して単調増加であるような関数関係を仮定すれば、保証されることを示した。これはF.Eに投稿中。これらの研究をするにあたり、常微分方程式の解の存在定理、また構造定理が大変有効な手段となり、特に,gの零点付近の解析が大変役立った。また、劣粘性解、優粘性解に関する比較定理が大変有効に働いた。
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