研究課題/領域番号 |
09640199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解析学
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
諸澤 俊介 高知大学, 理学部, 助教授 (50220108)
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研究分担者 |
小駒 哲司 高知大学, 理学部, 教授 (20127921)
加藤 和久 高知大学, 理学部, 教授 (20036578)
新関 章三 高知大学, 理学部, 教授 (60036572)
藤解 和也 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (30260558)
大坪 義夫 高知大学, 理学部, 助教授 (20136360)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 複素力学系 / ファトウ集合 / ジュリア集合 / 超越整関数 / 値分布論 / 超越整関数の位数 / 遊走領域 / ベーカー領域 / 分岐理論 / 表現空間 / タイヒミュラー空間 |
研究概要 |
超越整関数の力学系の研究において諸澤はまず関数族f_λ(z)=λz exp(z)を考えた。これは複素1変数の関数族である。特にλが実数の場合にはその分岐を見るときに実力学系の単峰写像の理論を用いることができることを見い出して、その力学系がカオス的となるような実数λが豊富にあることを示した。さらにλを複素変数としてその変数空間を考えた。特にf_λ(z)のファトウ集合が空で無い時に、その各成分が有界となる変数空間の領域を求めた。方法としてはジュリア集合内のある曲線について調べるという位相的方法を用いた。この方法は、この関数族に限らずに、適当な曲線をそのジュリア集合の中に見い出すことができるのであれば用いることができる。応用として、そのジュリア集合がシルピンスキー・カーペットと呼ばれる位相的特徴を持つ超越整関数を具体的に求めることができた。 超越整関数の力学系と有理関数の力学系との大きな違いのひとつは超越整関数の力学系のファトウ集合が遊走領域あるいはベーカー領域を含むことがありえることである。諸澤は真に周期的なベーカー領域を持つ超越整関数の具体的例を構成することができた。 超越整関数は常に適当な多項式列の広義一様収束極限として考えられる。このとき、力学系としての収束がどのようなものであるかを諸澤は考えた。すなわち、ジュリア集合とファトウ集合の収束を考えた。特に遊走領域あるいはベーカー領域をもつような超越整関数についてこのことを考察した。一般には関数列の広義一様収束はファトウ集合やジュリア集合の収束を意味しない。そこである条件のもとで多項式のファトウ集合列の適当な成分がベーカー領域に収束することを示した。また、ある条件を満たすファトウ集合列をもつ多項式列の広義一様収束極限となる超越整関数は遊走領域を持つことを示した。 加藤は一般化されたクッキー・カッター・カントール集合のハウスドルフ次元を調べた。その応用として、2次写像の不変集合のハウスドルフ次元に対する評価式を得た。 藤解はさらに、ある代数型函数についてその函数が与える有理型函数体上の線型微分多項式の比を考え、その特性函数が再びこの函数体の元となるとき、その函数の対数導関数もまた同様なことが得られるか否かについて考察した。これはNevanlinna理論でもっとも重要な結果の一つである対数導関数に関する評価の逆の主張に対応した問題である。
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