研究概要 |
平成9、10年度科学研究費補助金を得て成された代表者の研究実績は、出版された論文が5編、出版予定の論文が3編、投稿中の論文が1編である。その内容は次のとうりである。 1。 正定値作用素、(あるいは行列)A,Bと作用素単調関数fについて、次の結果を得た。 ||f(A)f (B)||≦f(√||AB||)^2特に対数関数の積のノルムについては次のようになる。 ||log(1+A)log(1+B)||≦log(1+√||AB||)^2. これらは、正の実数巾について拡張され、ミンコフスキー型不等式が得られた。更にA,B,が行列であれば、行列式についても、同様の不等式が成立する。Mathematical Inequality and Appl.Vol.1(2)(1998)279-284. 2。 ハインツ-加藤不等式を古田氏が拡張した不等式がある。それを更に拡張して次の結果を得た。作用素単調関数f(t),g(t)>0についてT(fg/t)(|T|)はすべてのTについて定義され (T(fg/t)(|T|)x,y)≦(f(|T|)x,x)(g(|T^*|)y,y) が成立することを示した。これはProc.Amer.Math.Soc.で校正済みである。 3。 C^*一環におけるKorovkin一型理論について知られている結果を、作用素不等式を使うことによって、簡単明瞭にし、更にPICK一関数を使い、新しいKOROVKIN集合を得た。これはMATH.Zeitshriftで校正済みである。 4。 作用素(行列)A,Bについて 0≦A≦BならばO≦f(A)≦f(B) をみたす関数fは作用素単調関数と呼ばれる。このときfが有理関数でなければfは強単調であることを示した。すなわちA,Bが共通因子をもたず 0≦A≦Bならば0≦f(A)<f(B) を得た、更に凸性についても同様の結果を得た。
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