研究分担者 |
上田 哲生 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10127053)
安田 令子 大阪医科大学, 医学部, 助教授
安田 〓子 大阪医科大学, 医学部, 助教授
安田 苓子 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (90084855)
|
研究概要 |
西村・安田は,2次元複素射影空間P^2上の双有理写像の力学系の研究を行った。有理写像の力学系研究では,正則写像の場合には現れない現象として,不定点の分布の問題,同次多項式による表示の次数低下の問題がある。この現象を理解するために,ある双有理多項式2次写像族ψとその逆写像族を詳細に調べた。写像族ψ^nの場合にn回合成写像ψ^nの次数低下のメカニズムを調べ,また不定点の分布を具体的に記述した。ψ^nの同次多項式表示の次数低下の際に現れる共通因子の定める代数曲線C^nの取りだしに成功した。ψ^nの不定点全体の集合と,すべての対C^m,C^nの交点の全体の集合とが一致することを示した。 我々の研究は純数学的なものであるが,この補助となるような複素2次元の力学系のプログラム開発を西村は手がけた。特に,iterationの計算を射影空間の同次座標を用いて計算することを試みた。 上田は,射影空間P^n上の複素力学系の研究を行った。特に,有限分岐的写像(critically finite map)の場合,すなわち分岐点の軌道が代数的集合となる場合に,ファトウ写像が定数に限られること,従ってジュリア集合が全空間に一致すること,また反発周期点の集合が射影空間内で稠密であることを示した。さらに射影平面P^2上の2次写像の分類を行い,有限分岐的写像の例を構成した。
|