研究概要 |
この共同研究では,Fractional Calculusとその応用の研究を中心に据えて,各共同研究者のこれまでの研究の蓄積との融合を試みながら進めてきた.1)Fractional Calculus本研究代表者の提案(1978)によるガウスの超幾何関数を核に含むものをさらに一般化するようなアッペル関数F_3を核に含む分数微積分を定義し解析した.また,分数微積分の定義の多次元化についても考察した.既にRiemann-LiouvilleとWeylの分数微積分の多次元化2種については定義と性質を本研究以前に発表しているが,ここではそれらのガウス関数を含むものへの拡張を調べた.2)H-変換とその応用核に様々な特殊関数を含む積分変換の一般化として,H-関数を積分核とする積分変換,H-変換,について考察した.まず空間L_<v,2>上でH-変換の写像性,有界性,単射性,表現公式などが確立され,その上で空間L_<v,r>(1【less than or equal】)r【less than or equal】∞)にその変換が拡張可能であることが示される.その際H-関数の詳細な性質の研究と利用が必要である.さらにH-変換のL_<v,r>での反転性についても調べられた.このようなH-変換に関する一般な結果は,様々な具体的な特殊関数を含む積分変換の写像性定理を生み出すことが出来る.ここではMeijer変換,Lommel-Maitland変換,Hardy-Titchmarsh変換について調べ,それぞれ特徴ある結果を得た.3)Fractional Integral and Differential Equations分数微積分に関係して,Abel-Volterra形の積分方程式についても考察し,その解の漸近性を調べた.4)幾何学的関数論への分数微積分の応用Kiryakovaの定義したG-関数を含む分数微積分作用素を使って解析関数の歪曲定理,星型性,凸型性を調べ,単葉性を解析した.その結果はHohlov作用素,Riemann-Liouville分数微積分作用素や,本研究代表者によるガウス関数,アッペル関数F_3を含む分数微積分作用素に対する定理を導く. これらの研究のために,研究組織内の研究打ち合わせ旅費,および研究成果の海外での発表旅費などに,本研究経費が有効に使われた.
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