研究概要 |
1.Navier-Stokes乱流の1次元モデルやランダムな界面の成長モデルであるバーガース方程式にランダムな外力を加えた時の,速度勾配ζ≡∂u/∂xの確率密度関数Q(ζ)を理論的に求め,直接数値シミュレーション(DNS)と比較した.その結果Q(ζ)は極めて左右非対称であることや,ζの負の側にはべき的に減少する領域,とそれよりさらに大きい|ζ|で指数的に減衰することがわかった. 2.3次元定常乱流のDNSを大規模に行なった.1999年12月に名古屋大学に導入されたばかりのFujistu VPP5000の32個のCPUと,当研究で開発した極めて効率のよい並列化FFTを用いて,N=1024^3の解像度で乱流場のDNSを行なうことに成功した.これは2000年3月の時点で世界最大規模であり,到達できたレイノルズ数R_λ=490もまた極めて高く,実験とも充分比較できるものである.結果は,すぐにUC Santa BarbaraのITPで開かれた乱流の国際会議でただちに発表され(2000年2月7日),大きな反響を得た(http://online.itp.ucsb.edu/online/hydrot_c00). 3.速度差δu(r)=u(x+r)-u(x)の確率密度関数Q(δu)の漸近的関数形を条件付き平均値の観点から理論的に求めた.|δu|の小さいところでは,Q(δu)はガウス分布,|δu|の大きいところでは指数分布になることがわかった.これを乱流のDNSにより得られたデータと比較し,理論的な結果は実際にDNSデータと一致することが確認された. 4.乱流における圧力や圧力勾配の分散をDNSにより直接計算しそのレイノルズ数依存性を詳しく調べた.その結果,圧力勾配の分散は準正規近似による結果よりもかなり大きくなることがわかった.この違いは,圧力のポアッソン方程式のソース項の秩序構造によって説明できた.また圧力のスペクトルの新しいスケーリングを得た.
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