研究分担者 |
大森 博之 愛媛大学, 教育学部, 教授 (20036370)
田沢 新成 近畿大学, 理工学部, 教授 (80098657)
垣内 逸郎 神戸大学, 工学部, 助教授 (90091248)
稲葉 太一 神戸大学, 発達科学部, 講師 (80176403)
高橋 正 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (30179494)
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研究概要 |
m個の因子に関する一部実施要因実験における検索線形モデルを考える(ある母数ベクトルζ_1は完全に未知で、そして別のある母数ベクトルζ_2の中には高々k個の無視できない未知な母数が含まれかつそれらの母数はどれであるか不明である).観測値ベクトルyを用いて,それらの高々k個の無視できない未知な母数を検索するめの2つの手順を考える:検索されるべきζ_2の中の母数ベクトルをζ(k×1)と仮定して,(1)ζ_1及びζの推定値から得られる,yの推定値y(ζ)との残差平方和S(ζ)^2=||y-y(ζ)||^2をもとに,可能なζに対して,S(ζ)^2を最小にするζ_1が目的の未知母数ベクトルである,(2)||ζ||^2の推定値γ(ζ)^2を求め,可能なζに対してγ(ζ)^2を最大するζ_2が目的の未知母数ベクトルである.本研究では,未知母数ベクトルζが観測値ベクトルyに及ぼす影響の大きさを明らかにし,新たな手順を提案した:(3)線形モデルに依存して決まるある正定値行列Qに対して,τ=||Qζ||^2の推定値τ(ζ)^2を求め,可能なζに対してτ(ζ)^2を最大にするζ_3が目的の未知母数ベクトルである.この手順は,手順(2)の拡張として検索線形モデルの幾何学的な性質から与えられた.また仮説H_0:ζ=0,H_1:ζ≠0を検定する場合に,τ(ζ)^2を最大にすることは対応するF統計量を最大にする(有意である可能性を最大にする)ことを示し,統計的仮説検定の立場からも手順(3)の良さを明確にした.さらに結果として,手順(3)は手順(l)と同値になる,すなわちζ_1=ζ_3が成り立つことを証明した.初年度は,k=1に対して上記の結果を明らかにし,次年度は一般のkに対して拡張を行った.さらに,今まですでに得られている検索可能計画すべてにつてコンピュータを使用してδ^2=||Qζ_0||^2/σ^2(ζ_0(k×1)は真の未知母数ベクトル,σ^2は観測値の分散)のδ^2=1.0,1.5,...,6.0の各値に対して検索確率を求め,検索可能計画の比較検討を行った.検索可能計画の組合せ的性質に関連して,秤量行列(weighing matrix)の分類,ある種のグラフの数え上げ問題,そして一部実施要因実験おける最適化問題などにも貢献できた.
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