研究概要 |
本研究において、d次元ユークリッド空間R^d上の連続写像の空開C(R^d,R^d)に値を持つセミマルチンゲールに基づく確率微分方程式について考察し以下の結果を得た。 1. C(R^d,R^d)-値セミマルチンゲールに基づく確率積分のひとつのクラスをなすcanonical integralの定義とIto integralおよびStratonovich integralとの関連性。 2. C(R^d,R^d)-値セミマルチンゲールに基づくcanonical integralによって定義される方程式(以下canonical SDEと呼ぶ)の解の存在及び一意性。 3. C(R^d,R^d)-値セミマルチンゲールに基づくcanonical SDEの解の同相性、更に微分同相性。 4. canonical SDEの解の成す(微分)同相群上のstochastic flowのinverse flowは適切な条件の下で対応するbackwardのcanonical SDEの解として表現できること。 以上の研究結果により、canonical SDEは自ずから持つ構造により、stochastic flowの良い性質を持つクラスを自然に生成することが示されたと言える。 本研究において得られた成果は、研究代表者によって1998年度日本数学会秋期総合分科会において報告された。さらに、九州大学大学院数理学研究科教授國田寛氏との共著の形で2部作の論文“Canonical SDE's based on semimartingales with spatial parameters"としてまとめられ、Kyushu Journal of Mathematicsに受理されている。
|