研究分担者 |
岩崎 義光 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (70278901)
澤見 英男 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (70098581)
岡本 直孝 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00068909)
菅野 幸夫 岡山理科大学, 総合情報学部, 講師 (10289134)
平野 博之 岡山理科大学, 工学部, 講師 (60264115)
榊原 道夫 岡山理科大学, 総合情報学部, 助教授 (70215614)
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研究概要 |
研究代表者が,研究分担者ならびに研究協力者の緊密な協力も得て,標記研究課題とそれに関連するテーマについて進めてきた研究の概要は以下の通りである. 科学技術計算の分野において,自然現象を記述する偏微分方程式の解を数値的に求めることにしばしば遭遇する.それは最終的には,大規模な連立一次方程式Ax=bを解くことに帰着する.対象とする問題が大規模になるにつれて,記憶容量と計算時間が増大する.そのために,計算効率と高精度の解を得ることが可能な反復法の開発が重要である.この目的を達成するために,代表者を始めとする分担者はある種の前処理行列の使用によって古典的Gauss-Seidel法の反復回数を大幅に減少することに成功した.本研究課題のもとでの研究成果は次の通りである. 1.1991年に提案された前処理行列(I+S)を改良し,パラメータを付加することによってその収束性を高めたものが(I+βU)型前処理行列であり,実験的に有効性を知った.ここで,行列S,Uはそれぞれ-Aの双上対角要素,狭義上三角要素で構成される.我々は,前処理行列を係数行列の逆行列の近似であるという視点から改めて前処理行列の導出を行うことによって,(I+βU)の数学的妥当性を導いた. 2.具体的な応用として一次反応を伴なう移流拡散方程式を境界要素法で離散したモデルの数値解法に(I+βU)型前処理法を適用した.その結果,従来最も反復回数が少ない方法として知られているBiCG-stab法と比較して約1/4のCPUタイムで解が得られた.ちなみに,BiCG-stabは解くべき問題によっては収束しない場合がある事が報告されている.また,前処理化行列に対してはSOR法とGauss-Seidel法の反復回数が一致する新しい知見を得た. 3.従来では数値解法が困難であった非対角優位行列を係数にもつ線型方程式の数値解法として(I+βU)型の前処理付Gauss-Seidel法が有効であることを示した. 4.前処理付反復法を並列計算を行うために,差分を行うときに独自の順序付けを行うことによって並列計算を可能にし,さらにその有効性を示した.
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