研究課題/領域番号 |
09640354
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・核・宇宙線
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
阪部 周二 大阪大学, 工学研究科, 助教授 (50153903)
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研究分担者 |
中島 信昭 大阪市立大学, 理学部, 教授 (00106163)
井沢 靖和 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (10029316)
飯田 敏行 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60115988)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | NEET / フェムト秒レーザー / テラワットレーザー / レーザープラズマ / 高エネルギーイオン / フェトム秒レーザー |
研究概要 |
NEETとは、nuclear excitation by electron transition(軌道電子の遷移に伴う原子核の励起)の略称で、ニートと呼ばれている。内殻イオン化に続く電子遷移の余剰エネルギーは、普通X線かオージェ電子として原子外に放出される。NEETは、そのエネルギーが内側に向かって原子核の励起に至るという第三の脱励起機構である。NEETは原子系と核が直接係わる現象であり、原子、核分光学での新しい展開が期待された。しかし、NEETの観測はその確率が小さいため困難であ。NEETを実現する方法として光子による内殻イオン化の方が好ましいと考えられる。しかし、この場合、数TW以上の強度がないとNEETの観測は困難と考えられる。 近年の高強度レーザー装置の発展は目覚ましいものがあり、原子核物理学への応用も考えられるようになってきた.超高強度レーザーの代表が慣性核融合用ガラスレーザーであるが、非常に大がかりな装置である上に、現状では繰り返しが3時間に1パルスと低いために、NEETのような事象確率の低い現象を観測する原子核物理学の研究道具としては不適切であった。 最近のチタンサファイアレーザーの出現により、フェムト秒パルスレーザーが普及してきている。それに伴い尖頭パワーも高くなり、テーブルサイズのTWレーザーが普及してきている。現在、我々のグループこのようなレーザーを構築しているが、このレーザーを用い、NEETの観測を試みたい。高強度レーザーを高Zの金属に集光照射すると、輝度の高いMeVX線が発生することが期待できる。このX線をもちいれば内殻イオン化ができる。この研究の目的は高強度レーザー生成プラズマ高エネルギー粒子の特性を調べ、これを用いてNEETを実現観測し、その物理機構を明らかにするデータを得ることにある。本研究はプラズマ物理の分野、原子核物理の分野においても新しい展開が期待できる。 超短パルス高強度レーザーの短パルス化と出力増強 現有のチタンサファイアレーザー装置を基盤に、(1)超短パルスモード同期発振器の開発、(2)パワー増幅器の構築を実施し、パルス幅100フェムト秒、出力エネルギー500mJの5TWのパワーを達成した。 レーザー照射系真空容器と計測器の整備 既存の真空容器を改良し、超短パルスを試料に集光照射するための真空照射系を構築した。超短パルスを集光するには透過型レンズを用いることが出来ないので、軸はずし放物面鏡を用いなければならない。試料に正確に集光できる調整機構を組み立た。 高エネルギーイオン計測 NEETの実験に先立ち、短パルスレーザー生成プラズマからの高エネルギー粒子の特性を知るために、測定器の整備を行った。これにより、高エネルギーイオンのエネルギースペクトルの測定に成功し、ナノ秒レーザーでは生成されなかった、10MeV以上の高速イオンを観測した。 NEET現象計測 金属ウランに上記高強度レーザーを集光照射し、照射後の金属ウランからの電子放射(β線崩壊)の観測に成功した。崩壊時間は約20分であり。これはNEETにより励起された原子核の内部変換による電子放出と考えられる。
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