研究課題/領域番号 |
09640402
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
藤井 淳浩 熊本大学, 理学部, 教授 (30034375)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 微結晶 / ハロゲン化タリウム / 量子サイズ効果 / 励起子 / 励起子閉込め効果 / 電子・正孔交換相互作用 / 吸収スペクトル |
研究概要 |
本研究では微結晶中の励起子状態への量子サイズ効果の基礎的研究を目指して、TlClおよびTlBr蒸着薄膜の光吸収を測定した。膜厚の異なる多くの蒸着膜を用意し、その吸収スペクトルを5Kで測定し、励起子吸収帯のピークエネルギーを求めた。また、吸収測定に並行して、電子顕微鏡での観察より、蒸着された微結晶のサイズRを決定した。バルク結晶中での1S励起子は電子・正孔交換相互作用のため2本の吸収ピークとして観測され、それぞれ1A,1Bと名づけられている。測定の結果、(1)TlClではこの1Aと1B吸収帯のピークエネルギーは粒子サイズRを小さくしていくとblue shiftして行く。このblue shift量の粒子サイズ依存性はR=40a_B〜1.5a_Bの範囲でKayamumaによる理論計算の結果を非常に良く再現していることが分かった。一方、TlBrでは1Aと1B吸収帯の間隔が狭いためバルク結晶で見られるように2本に分離して観測されなかったが、粒子サイズRを小さくしていくとTlClと同様blue shiftして行き、Kayamumaによる理論計算の結果と非常に良い一致を示した。すなわち、TlCl、TlBrでは励起子エネルギーへの強い量子サイズ効果を確認することができた。(2)TlClでは吸収帯1Bの直ぐ高エネルギー側にバルク結晶中では観測されない新しい吸収帯が観測され1Cと名づけた。この吸収帯の起源を蒸着薄膜内での入射光の多重反射干渉によるものとして、吸収スペクトルのシミュレーションを行ったところ測定で得られた吸収スペクトルと良い一致を示した。(3)TlClにおいて1B吸収帯に対する1A吸収帯の相対強度は粒子サイズRを小さくしていくとだんだん小さくなり、R<15nmではほとんど消滅した。これは1S励起子に働いている電子・正孔交換相互作用への量子サイズ効果と考えられる。
|