研究概要 |
PrCu_2はTc=7.6Kで斜方晶系から六方晶系ヘヤン・テラー構造相転移を引き起こす。この構造相転移の特性を明らかにするために磁場中及び高圧力下における低温比熱測定から研究した。 平成9年度は^3Heクライオスタットを用いて,単結晶試料の各結晶軸方向に6Tまでの磁場を加え,0.5Kから30Kの温度範囲で,断熱法により比熱測定を行った。その結果は、 ●各結晶軸方向のT_cの磁場変化から,相図を作成した。b-軸方向で磁場はヤーン・テラー転移を著しく抑制する事を発見した。 ●b-軸方向での異常な磁場変化を、分子場理論を用いて解析し、縮退したヤーン・テラー準位(秩序変数に対応する)が磁場によって分裂するためであることを明らかにした。 平成10年度はクランプ式ピストン・シリンダー圧力セルを用いて、結晶に0.2GPaから0.8GPaまでの圧力を加え比熱を測定した。加圧セル内の実圧力の校正は、Snの超伝導転移変化から決定した。PrCu_2への圧力効果は、 ●0.5Kから5Kまでは比熱の圧力変化は小さく、上限の0.8GPaまでほとんど常圧と同じ値でる。しかし温度が5K以上になるとピーク値は折れ曲がるように減少し始める。 ●圧力増加と共にヤーン・テラー転移温度は一様に上昇する。 ●理想的協同ヤーン・テラー比熱にガウス型の転移温度の分布を取り入れ、実験結果と比較して転移温度の分布幅の圧力依存性を求めた。
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