研究課題/領域番号 |
09640445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小堀 洋 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (10153660)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1997年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | NMR / NQR / 超伝導 / 反強磁性 / U化合物 / heavy fermion |
研究概要 |
重い電子系超伝導体UPd_2Al_3及びURu_2Si_2の示す磁性及び超伝導について調べるために、^<27>Al、^<105>Pd及び^<29>Si、^<101>RuのNMR/NQRを行い、スペクトル及び核スピン格子緩和時間(T_1)測定から以下の結果を得た。 (UPd_2Al_3)UPd_2Al_3では、0.85μ_Bの磁気モーメントを持つ反強磁性磁気秩序が14K以下の温度で発生している。結晶構造を反映し、Pd核のみ結晶C軸に対して垂直な方向に約3KOeの内部磁場を受ける。得られた内部磁場は非常に小さい値であり、Pdが非磁性であり、Pd-4d電子の分極が非常に小さいことを示す。^<105>Pd核において、1/T_1の温度依存性は常磁性状態で温度変化せず、さらにT_N近傍で臨界発散が起こる。以上の1/T_1の振る舞いは、系が局在した性格を持つことを示している。他方、反強磁性秩序状態において内部磁場を受けない^<27>Al核では、1/T_1の温度依存性は^<105>Pdとは異なり、常磁性状態でTに比例し、Fermi液体的な振る舞いを示す。超伝導状態において、^<105>Pd及び^<27>Alの1/T_1は、超伝導温度(Tc)でコヒーレンスピークを持たず、低温でT^3に比例した温度変化を示す。この結果は、UPd_2Al_3の超伝導エネルギーギャップが線状のノードを持つためと解釈される。Tcで規格化すると、両方の核の緩和はまったく同じ温度変化をし、低温で形成された単一バンド全体が超伝導状態になっていることを示している。 (URu_2Si_2)Uの持つ磁気モーメントの大きさが0.03μ_Bと非常に小さいこともあり、^<29>Si、^<101>Ru核のスペクトルには内部磁場発生を伴う大きな変化は観測されない。一方1/T_1は、^<29>Si,^<101>RuともT_N以下で急激に減少し、フェルミ面における伝導電子の状態密度が40%と大きく減少することを示している。フェルミ面における状態密度の大きな変化は比熱等の測定結果にも同様に現れており、小さい磁気モーメントの磁気秩序にきせるには大きすぎる変化であると考えられる。そのため原因として、たとえば、電荷分布等に起因する相変化とする説も提出されている。^<101>Ru-NQRより、5f電子の電荷分布の変化を知ることができる。しかしながら、18K近傍ではRuサイトでの電場勾配の変化は観測されていない。超伝導状態における、^<101>Ru及び^<29>Siの1/T_1はUPd_2Al_3の場合と同様に、共に超伝導転移温度(Tc)でコヒーレンスピークを持たずにまた低温でT^3に比例し、超伝導エネルギーギャップに線状のノードが存在することを示している。^<101>Ru核の場合、零磁場の測定にもかかわらず、核スピンの磁気回転比が非常に小さい事を反映し、磁性不純物からの寄与は小さく、低温まで超伝導準粒子からの寄与が支配的になっている。
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