研究課題/領域番号 |
09640468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中西 秀 九州大学, 理学部, 教授 (90155771)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1998年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1997年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 動的破壊 / 安定性 / 理論 / 表面波 / 粘弾性体 / パルス |
研究概要 |
1. 破壊のダイナミクスに対して非常に重要な役割を果たしている、固体表面波について、表面張力と粘弾性が競合する場合について、理論的に解析しさらに数値シュミレーションを行なった。その結果、表面張力が弾性ストレスよりも大きい場合には、表面波の境界条件を満たすような運動方程式の解が存在しないことが示された。表面張力が弾性ストレスよりも大きいような状況は、通常の固体では考えにくいが、ゲルのような粘弾性体では実現し、今回得られた結果からそのような物質の中を走る亀裂のダイナミクスは、通常のものとは大きく異なることが予想される。 2. 亀裂進展のダイナミクスの安定性に対する、亀裂線に平行な自由度の影響を、計算機シミュレーションによって調べた。従来、亀裂線に垂直な平面内の自由度の影響は、シミュレーションや解析的理論によって調べられてきた。その結果、直線進行解が、低速では安定、高速では不安定になって枝分かれ等が発生することが知られていた。今回、亀裂線に平行な自由度を簡単な質点とバネのモデルによってシミュレーションした結果、垂直な場合とは反対に亀裂線がまっすぐなまま進むような解は低速では不安定、高速では安定になることが分かった。 3. 亀裂が進行する際に、後方で破断面が再癒着する場合について調べた。地殻の断層に沿って進行する地震による破壊などは、この様な状況に相当し、破壊はパルス状になって伝播してゆく。 連続体近似の下で、2次元弾性体中を進行するモードIII亀裂の場合については、以前に求めていたWiener-Hopf解を実空間に書き換えることによって、この様な状況に対応する解を書き下すことができた。 この解の性質を調べることによって、以下のことが分かった。 (1) 連続体近似でストレスが発散しないために、亀裂先端部には分子間力の働く領域を仮定する必要があるが、再癒着点付近ではそのような領域が必要ない。 (2) 再癒着しない時には亀裂の進展速度は散逸によって決まっていたが、再癒着のある場合には再癒着の条件が進展速度に大きな影響がある。 (3) 再癒着までの全変位は、無限遠で外部から課した変位の程度となる。 (4) 開放された弾性エネルギーは破断面を作るために必要な表面エネルギーに等しい。
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