研究概要 |
マグマと地下水の相互作用である水蒸気爆発や噴気活動を理解するために,有珠山と北海道駒ヶ岳を対象にして,火山浅部の水環境について調べ,水蒸気爆発の発生環境や貫入マグマの冷却過程について検討した.結果はいかのようにまとめられる. 1.有珠山および周辺地域の容水層は大きく三つに区分され,各容水層の間には有効透水係数にはオーダーで1-3の違いがみられた.電気検層解析から求められた孔隙率は容水層の地質時代よりも岩層による変化が大きい.また,地層比抵抗と容水層の特性を比較すると,低比抵抗層が必ずしも透水層に対応していないことがわかった. 2.有珠山の1943-1945年の活動,1977-1982年において観測された(マグマ-)水蒸気爆発の発生深度は地表下60-230mと浅く,関与した容水層は保水力があり良好な透水層を含む更新統一上部鮮新統と推定された. 3.マグマと接触した透水層内の圧力変動について簡単なシュミレーションを行った結果,透水性の悪い地層では蒸気生成に伴う圧力が保持され,水蒸気学発の発生環境は透水層よりはむしろ不透水層で形成される可能性があることが分かった.また,貫入マグマの冷却過程のシュミレーションは観測された放熱量の経時変化を説明することができたが,温度分布については検討課題が残った. 4.北海道駒ヶ岳の水理地質構造を明らかにするためにAFMT探査を行ったが,山体構造を明瞭に描きだすことはできなかった.また,熱水系の経時変化をモニターするためにSP探査を繰り返したが,顕著な経時変化は検出できなかった.
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