研究概要 |
西太平洋赤道域における雲の構造を,TOGA-COAREの集中観測期間に得られた2台のドップラーレーダーの観測データを用い,レーダー反射強度分布から降水タイプを客観的に識別する方法を用いて解析した.レーダーデータと衛星データとを比較して,衛星データを用いた降水強度の推定法を調べた.この結果,広範囲に広がるクラウドクラスターの平均的な構造に関する解析には静止気象衛星の赤外データが有効であることを示した.また,オーストラリア・ダーウィンで行われたドップラーレーダー観測に参加して得たデータを解析し,対流域と層状域に分けて,上昇流を計算し,非断熱加熱量の計算を行い,大陸性と海洋性の降水雲の特徴を明らかにした.ゾンデデータの観測網が粗いために,ドップラーレーダー解析とゾンデ解析を直接比較することはできなかったが,2台のドップラーレーダーの観測データから求めた上昇流を使って非断熱加熱量の推定が可能であることを示した.さらに,氷晶過程を入れた雲解像数値モデルを用いて,熱帯海上の積乱雲の鉛直構造に関する特徴について解析を試みた.バブルを与えずラージスケールの加熱最を最下層に与える方法で,現実的なクラウドクラスターの再現を行なうことができた.バブルを与えた場合でも,雲の再発達によって霰が形成され,下層にガストが形成されるほど発達する雷雲が海上でもできうることを示した.最後に,三年間の研究成果を報告書にまとめた.
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