研究概要 |
鬼首-湯沢マイロナイト帯は,宮城県北西の鳴子ダム付近から秋田県湯沢市東方にかけてNNW-SSE方向に伸びる約45kmの直線上において新第三系の基盤の花崗岩中にマイロナイトが分布するということで命名された.この断層帯の実体および断層活動史を明らかにするために,先新第三紀基盤岩中にマイロナイトが分布する,宮城県鳴子町の鳴子ダム周辺,寒風沢周辺,大森地域,秋田県湯沢市麓沢の地質・構造の調査と・断層岩の解析を行った. 鬼首-湯沢マイロナイト帯とその周辺の断層運動は以下のようにまとめられる.白亜紀の花崗岩貫入後に鬼首-湯沢マイロナイト帯は片側数100m(大森で約600m)の左横ずれ延性剪断帯として形成し,約52Maのトーナル岩に貫入されている.その後,断層帯中心から離れて小規模なカタクレーサイト化作用が起こり,中新世以降は鬼首-湯沢マイロナイト帯の方向に大きく斜行する高角断層が形成した.鬼首-湯沢マイロナイト帯は,白亜紀の花崗岩花崗岩貫入後マイロナイト帯を形成,52Maのトーナル岩貫入後に断層運動はほとんど起こっていないという断層活動史が明らかになった. また,断層岩試料作成設備の整備を行い,軟弱試料や断層粘土など特に軟弱な観察試料を作成する加工方法について試行し,真空減圧デシケーターによる軟弱試料の強化や,オイルで冷却する特殊切断機が断層粘土の切断に有効であることがわかった. また,断層運動に伴って発達する堆積相の記載や,断層の力学的性質を明らかにするために変形実験装置によって,摩擦強度などの力学的データや,リソスフェアの強度断面の実験データの収集を行った.
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