研究概要 |
本研究は,反射法でみつかった神戸市灘区の伏在断層と兵庫県南部地震の著しい地表変状との関係を明らかにするために,反射法より高い分解能をもつ地下探査レーダをもちいて浅部地下構造を調査した。 1. 地下レーダ探査:(1)地下レーダイメージに現れた異なる反射強度と地質との関係をみるために,探査測線に沿ってボーリングを行った。その結果,砂礫層は一般に反射が強く,シルト層は反射が弱いことが判明した。(2)地表から10m地下までの地下レーダ探査の結果,反射法探査でみつかった伏在王子断層の直上(断層面の傾きを考慮して,断層を地表に投影した点)に,変形帯(地層の不連続[ずれ,乱れ]あるいは撓曲)をみつけ,伏在断層の断層活動と関係づけて考察した。さらに,複数の探査側線で得られた変形帯は既存の五助橋断層(“渦ヶ森断層")の南西延長に沿って分布し,六甲山地の五助橋断層が伏在王子断層につながることを明らかにした[第8回環境地質学シンポジウム論文集,神戸大学都市安全研究センター研究報告,n.2に公表;地球惑星科学関連学会合同大会,日本地質学会で発表]。また,(3)石屋川公園の地下レーダ探査で得られた変形帯は,反射法探査でみつかった石屋川公園地下の御影撓曲の場所とも一致し,それが南西方向にのびることを指摘した[神戸大学都市安全研究センター研究報告,n.3に公表予定]。 2. 地表変状の解析:兵庫県南部地震の地表変状を定量的に記述するために,一定の規格のかつ分布密度の高いライフライン(スリム型電柱,汚水桝)の被害を調査し,著しい地表変状が異なる地盤の上に線状に分布することを明らかにした[構造地質,n.42,Proc.30th IGC,v.5,地質学論集,n.51,地質学雑誌,v.104]。その線状分布が地下レーダ探査で得られた変形帯(1-(2)と(3))ののびと調和することを明らかにした[EUG10で発表予定]。
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