研究概要 |
空間光変調器として,市販の液晶プロジェクターなどに用いられている液晶ディスプレイ・パネルを用いて,位相敏感フェムト秒パルス整形器を作成した。用いた液晶パネルは,横640ピクセル,縦480ピクセルのもので,ツイステッド・ネマティック液晶を用いた,アクティブ・マトリックス駆動のTFT液晶パネルで,コンピューターによって各ピクセルごとに独立に明暗256階調の表示が可能である。各階調において,この液晶パネルを透過する光の振幅と位相を知るために,新たにマイケルソン型の干渉計を作成し,透過特性を調べた。シミュレイテッド・アニーリング法による空間変調パターンの計算プログラムに,この特性を組み込むことにより,実際に用いる変調器に即した,変調パターンと,パルス波形を得られるようになった。次に,得られるパルス波形を位相情報をも含めて測定するために,干渉型の強度相互相関測定装置を製作した。検出器には,GaAsPフォトダイオードを用い,レーザー光の2光子吸収による光電流を測定した。また,ピエゾ素子による位相変調法により,高いデータクオリティを得ることができた。また,この測定の過程で,新たに光電子増倍管の2光子光電効果を用いる方法をも開発した。このような方法を用いて,整形パルスの波形を観測し,理論通りの時刻にパルスが形成されていることを確認した。また,パルスの位相を制御することにも成功した。これにより,位相敏感四光波混合を行う準備がすべて整ったことになる。
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