製作したフーリエ変換マイクロ波分光装置を用いて、CD_4…H_2OやGeH_4…H_2Oの回転スペクトルの測定を試みた。CD_4…H_2Oの回転スペクトルは測定されたが、GeH_4…H_2Oのスペクトルは現在測定できていない。また、CH_4…NOを試みたところ、多数の吸収線を測定したが、トランスおよびシスHONOとN_2O_3の回転スペクトルであった。次に、フーリエ変換マイクロ波分光法を用いて測定されているAr…SiH_4およびAr…SiD_4の回転スペクトルのパターンの違いについて考察した。シランの分子内回転と分子全体の回転との角運動量で合成されたコリオリ相互作用だけでは説明できず、アルゴン原子とシラン分子との間の伸縮振動を考えてポテンシャルの非調和性を距離のべき乗で展開し、実験値の回転スペクトルを合うように選ぶとAr…SiH_4の場合は-15乗となり、Ar…SiD_4では-9乗であった。Lennard-Jonesポテンシャルを用いてポテンシャルを展開すると-15乗は斥力に-9乗は引力となることが分かった。さらに、SiH_4…H_2Oで測定されたスペクトルを一般化された内部回転のハミルトニアンを直接計算機によって解くことで測定結果を説明することを試みた。シランと本分子がファンデルワールス力より強く結合しているために、SiH_4基が錯体で内部回転しており、そのポテンシャル障壁は約260cm^<-l>と見積もられた。また、LiBH_4およびNaBH_4での振動励起状態の回転スペクトルを解析し、最も低い二つの振動状態間のエネルギー差とコリオリ相互作用定数を決定した。
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