研究課題/領域番号 |
09640622
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鍋島 達弥 筑波大学, 化学系, 助教授 (80198374)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | アロステリック効果 / 分子認識 / シクロファン / フラビン / C-AMP / ビピリジン / 銅錯体 / c-AMP / アロステリ- |
研究概要 |
金属配位子となる2,2'-ビピリジン部を有する二つのビスフェノールA骨格と第二の認識点となるアンモニウム部をもつホストを合成し、このホストがCu(I)と1:1でしかも定量的に錯形成することを各種スペクトルから明らかにした。このCu(I)錯体は二つのビスフェノールA骨格で囲まれた空孔(擬シクロファン構造)をもつことになるので、この分子認識力を溶媒抽出実験や液膜間輸送実験により調べたところ、フラビンモノヌクレオチドのナトリウム塩(FMN)に対してこの錯体が捕捉能力を持つことがわかった。Cu(I)錯体でない場合や、アンモニウム部を持たない類似のホストを用いた場合にはいずれもFMNの認識力は著しく弱くなった。つまりこのCu(I)錯覚体FMNのイソアロキサジン環を捕捉し、空孔近傍にあるアンモニウム部はFMNのリン酸アニオン部と相互作用する協同的な様式でFMN認識を行っていることを強く示唆する結果が得られた。さらに、抽出実験において一旦FMNを錯体により抽出しておき、そこにCu(I)と極めて高い親和力を持つバソクプロインを加えると、すべてのCu(I)錯体のホストはもとのホストに戻り、これに伴いFMNの水相への逆抽出が見られた。また、バソクプロインの代わりに、トリエチルアミン塩酸塩を加えると同様の現象が見らた。したがって、このことからも擬シクロファン環とアンモニウム部によってFMNが協同的に認識されていることが支持された。また、ゲストがc-AMPの場合も、同様なアロステリック効果の発現とその制御に成功した。 Cu(I)の添加による認識能の増大とバソクプロインによる認識能の消失は、これまで人工の分子認識系では例がなかった可逆的なアロステリックシステムが構築できたことを意味しており、今後の機能制御システムの設計にとって有用な知見が得られたと考えている。
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