研究概要 |
8-G-1-(p-YC_6H_4Se)C_<10>H_6におけるSe原子周辺の配座は、3種類(type A,type B,type C)に大別できる。1-[8-(p-YC_6H_5Se)C_<10>H_6]-SeSe[C_<10>H_6(SeC_6H_5Y-p)-8']-1'(1:a(Y=H),b(OMe),c(Me),d(Cl),e(Br),f(CO_2Et),g(NO_2))および1-(MeSe)-8-(C_6H_5Se)C_<10>H_6(2a-g)を合成した。1aの構造は、重複したtype A-type B pairingであり、2a、2bおよび2dの構造はそれぞれ、type C-type C pairing、pseudo-およびpure type A-type B pairingであることを証明した。1および2の特異な構造に由来する新規な物性を解明するため、1-および8-位のσ(Se)に対する置換基効果を検討した。その結果、1において、1-位のσ(Se)を8-位のσ(Se)でプロットしたところ負の傾きを与えた(a=-0.282:inverse correlation)。2について同様のプロットを行ったところ正の傾きが得られた(a=0.252:regular correlation)。1の電子伝達効果は4c-6eの特異な性質に由来し、2では、2c-4e,3c-4eまたはナフタレンのπ-骨格を経由した場合の効果であることを証明した。証明にあたっては、GIAO法に基づくNMR化学シフトの計算を併用した。 またGIAO理論に基づく化学シフトの計算の計算を、高い信頼性をもって有機セレン化学の研究に適応するため、どの程度の基底関数やレベルで計算を行う必要があるかを吟味した。この結果に基づいて、p-YC_6H_4SeRの一般式で表せるアリールセレニド類の^<77>Se NMR化学シフトとそれらの溶液中における構造を統一的の説明した。
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