研究課題/領域番号 |
09640646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
西山 幸三郎 東海大学, 開発工学部, 教授 (90087007)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1997年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 還元剤 / ヒドロシラン / シリルラジカル / 渡環相互作用 / ジシラアントラセン / 異性化 / ジュラアントラセン / 光異性化反応 |
研究概要 |
有機合成化学における還元反応は、酸化反応と共に、重要な反応である。特に遊離基還元は官能基選択性やその手軽さから多方面で利用されている。この様な反応では、様々な理由からヒドロシランが使用されているが、その反応性はあまり高くない。本研究では、これらの反応性を高める因子、即ち、ケイ素遊離基の安定化因子の解明と新規還元剤の開発を目的に研究を行った。先に我々は、9,10-位にケイ素原子を含むアントラセン誘導体(1)が還元剤として有効であることを報告し、中間に生成するシリルラジカルの安定性が重要であることを提案した。本研究では1の誘導体を含む種々の新規ヒドロシランを創製し、その反応性を試した。我々は、1の反応性の活性化因子は新たな渡環(p-d)π相互作用であると提案したが、別の研究グループから立体障害による安定化や超共役であるとの提案もあった。そこで、種々の置換基を持つ1の合成を行い、それらを用いた光化学的に発生させたシリルラジカルの安定性を異性化を目安として測定した。その結果、立体因子は安定化因子とは考えにくく、渡環(p-d)π相互作用が考えられる最も有力な因子であると推測された。したがって、この考え方に基づいた還元剤設計を行い、新規ヒドロシランの合成を行い、反応性を調べた。また、1に関係する周辺化合物の化学的考察も行った。その結果、 (1) 現在までに合成した種々のヒドロシランの還元性を確かめたが、アントラセン誘導体を超えるような化合物は得られていない。 (2) 生成するシリルラジカルの安定性については諸説あるが、光化学的に確かめたアントラセン誘導体のラジカル異性化より、我々が以前より提案している(p-d)π渡環相互作用によると考えるのが最も妥当であろう。 (3) 今後、この研究を推し進めることにより、ただ単に合成試剤の開発に留まることなく、含ケイ素芳香族化合物の合成や新しい機能を発現するケイ素化合物の探索にも繋がる結果が得られたと思われる。
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