研究概要 |
(1) ビス[ジヒドロビス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)ピラゾリル)ボレート]コバルト錯体の合成を行い、X線構造解析を行った。コバルトは平面型に四つのピラゾリル基、そして軸位に二つのB-H基により配位され全体として歪んだ八配位構造をとっている。この構造は単純なピラゾリルや3,5-位にメチル基を持つピラゾリル誘導体が四面体構造を持つことと対比される。同じ様なB-H-Magostic相互作用を含む歪んだ八面体構造がニッケル錯体でも観測された。 (2) ビス(トリフェニルホスフィン)[ジヒドロビス(3,5-R_2-ピラゾリル)ボレート]ルテニウムヒドリド錯体(R=H,Me,CF_3)を合成した。いずれもB-H-Ru agostic相互作用をもつ構造であることをX線解析により明らかにした。これらの錯体のagostic相互作用の強さはMe>H≧CF_3の順に低下することをCOとの反応性に基づき考察した。 (3) ビス(トリフェニルホスフィン)[ジヒドロビス(3,5-R_2-ピラゾリル)ボレート]ロジウム錯体(R=H,Me,CF_3)を合成した。X線結晶構造解析により、いずれもB-H-Rh agostic相互作用を含まない平面四配位構造をもつことを明らかにした。 (4) η^3-アリルあるいはインデニル[ヒドロトリス(3,5-R_2-ピラゾリル)ボレート]パラジウム錯体(R=H,Me,CF_3)を合成し、X線結晶構造解析により構造を決定した。これらの錯体はいずれも溶液中でfluxionalな挙動を示すことをNMRにより明らかにした。
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