研究概要 |
フェロセニレン架橋白金2核錯体(1)を大過剰のヨー化銅、フェニルアセチレンで処理して得られるフェロセニレン架橋白金銅アセチリド多核錯体の生成反応を6種の末端アセチレンで検討した結果、多核錯体の生成はフェニルアセチレンに特有の反応であることが明らかになった。つぎに、錯体(1)のシクロオクタジエン配位子のキレートジホスフィンPh_2P(CH_2)_nPPh_2(n=1〜6)との配位子交反応を白金にたいし等モルのキレートジホスフィン存在下で行ったところn=1,2,3についてシス配位錯体[Y{Ph_2P(CH_2)_nPPh_2}PtC_5H_4]_2Fe [Y=Cl(2a),-C=CR{R=Ph(2b),1-naphthyl(2c),ferrocenyl(2d)}が安定な結晶として単離された。錯体の電子スペクトル、NMR,サイクリックボルタンメトリーの結果キレートホスフィンのメチレン鎖によって白金配位面とフェロセンのシクロペンタジエニル環との2面角が変化し錯体の酸化電位、電子スペクトルが大きく変化することが明らかになった。^1H-NMRの温度変化でCp環CHの共鳴線のbroadeningを追跡しCp環の回転が阻害されていることを明らかにした。 1,1'-フェロセニレン架橋白金2核錯体{ClPt(1,5-cyclooctadiene)C_5H_4}_2Fe(1)のシクロオクタジエンとトリアリルホスフィンとの配位子交換反応を利用したジスルフィドの開裂反応においてトリアリルホスフィンをキレート型ホスフィンPh_2P(CH_2)_nPPh_2(n=1〜6)に拡張してところn=5,6についてキレートホスフィンが2個の白金に分子内架橋配位した常磁性錯体CIPtC_5H_4FeC_5H_4PtCl{Ph_2P(CH_2)_nPPh_2}SCH_3(3a,b)(n=5or6)が安定な緑色結晶として単離された。キレート錯体(3a,b)とPAr_3同族体の物性には変化がないことが明らかになった。
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