研究概要 |
構造規則性を有する新規光触媒材料を探索したところ,K_3Ta_3Si_2O_<13>が,助触媒の担持無しに,それのみで純水から水素と酸素を2:1で生成できる光触媒であることを初めて見出した。さらに,タンタル酸アルカリやアルカリ土類が純水の完全光分解反応に活性を示すことを見いだした。その中でも,タンタル酸ナトリウムに酸化ニッケルを担持した触媒が非常に高い活性を示し,その量子効率は約30%にまで達した。一方,Ga_2O_3とIn_2O_3の固溶体酸化物の光触媒活性を測定したところ,犠牲試薬存在下で水から水素も酸素も生成できることがわかった。また,新規可視光応答性光触媒材料を探索した結果,BiVO_4が硝酸銀水溶液からの酸素生成反応に活性を示すことを初めて見出した。さらに,Zn_<0.957>Cu_<0.043>Sを用いると,亜硫酸水溶液から水素が効率良く生成することを見いだした。この触媒では,白金のような助触媒を担持しなくても,このような高活性を示したことは特筆すべきである。このように,ZnS光触媒にCu^<2+>を固溶化させることにより,ZnSの水素生成能を維持したまま,可視光応答性を有するようになることを初めて見いだした。一方,超格子のような積層構造を有するIn_2O_3(ZnO)_mの吸収,発光,光電気化学特性,光触媒活性を調べた。その結果,可視光照射下でアノード光電流が観測された。さらは,可視光照射下でメタノール水溶液からの光触媒的水素生成と硝酸銀水溶液からの酸素生成に活性を示した。このように,積層構造を持つIn_2O_3(ZnO)_mが新規な光機能性材料群であることを初めて明らかにした。
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