研究概要 |
A:マンニッヒ反応を利用してアームドマクロサイクルを合成したところ,いくつかのフェノールを用いると副生成物が得られた.11種類のフェノール誘導体を用いて反応を行い,得られた副反応生成物のpH測定およびp-位の炭素の静電電荷計算の結果から反応機構を解明した.フェノール誘導体をマンニッヒ反応に用いる場合pH測定と静電電荷計算を行うことにより,2,6-二置換フェノールのマンニッヒ反応に対する反応性を予測することができることがわかった. B:側鎖としてi-Prおよびtert-Bu基を導入した化合物(2および3)を合成し,その金属錯体の構造解析を行った.その結果,側鎖にtcrt-Bu基を導入した3-RbSCN錯体は1:1錯体を形成していたのに対し,側鎖にi-Pr基を導入した2-RbSCN錯体では,1:1錯体と高分子状(1:1)n錯体が交互にならんだ構造であったMe基を持つl-RbSCN錯体が高分子状(1:1)n錯体であることも含めて考えると,これら一連の化合物では側鎖に導入したアルキル基のかさ高さに依存して錯体の構造が系統的に変化することがわかった. C:側鎖の水酸基の両隣にFを導入した化合物のRbSCN錯体ではRb^+がクラウン環の五つのへテロ原子とに二分子のSCN塩のS原子によって配位され,2:2錯体を形成している.さらに他分子の側鎖のFに配位されることによって8配位構造をとっている.この錯体では側鎖のフェノール性OH基ではなくFが他分子に取り込まれた金属イオンに配位している. D:側鎖のフェニル基の両側にMeO基を導入した化合物のKSCN錯体では側鎖のフェノール性OH基とMeO基が他分子に取り込まれたK^+に配位して二次的な包接場が形成することを明らかにした.この結果はアームドマクロサイクルをホスト錯体として機能させるためには,より強く金属イオンに配位するような官能基を側鎖に導入すれば良いことを示唆している.
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