研究概要 |
各種材料の高純度化とともに分析法の高感度化が望まれている。また、世界貿易機構の発足以来、各国が品質保証の基準となる精度、正確さの優れた分析法の確立や標準物質の調製などを行うことがより一層肝要となってきている。電子ライナック、サイクロトロンといった加速器を利用する放射化分析は感度、正確さの点から高純度材料中の微量不純物である軽元素を分析する最も優れた方法の一つであると認識されるようになってきた。炭素、窒素、酸素などの軽元素の放射化分析では、短寿命の放射性同位体が生成するため、分析資料を照射後、迅速に分離し検出することが不可欠とされる。そこで、本研究ではフロー法による迅速分離、検出法の可能性を検討してきた。まず最初に、放射化した試料をゴールドイメージ炉で燃焼させ、コイル法で放射性炭酸ガスを連続抽出し、BGO同時計数装置を用いて抽出溶液中の放射能を連続モニターする装置を完成させた。光量子放射化は東北大学原子核理学研究施設設置の電子ライナックを利用して行った。鉄鋼標準試料中の炭素の定量を行った。定量には^<12>C(γ,n)^<11>C反応を利用した。電子加速エネルギー30MeVで20分間照射した。^<11>Cを分離するための、燃焼温度、燃焼時間、助燃焼剤について検討したのち、エタノールアミン水溶液に効率良く吸収させるための、燃焼条件、エタノールアミン濃度、酸素流量について捕集条件を求めた。最適条件を決定した後、炭素の定量を行った。日本鉄鋼協会配布の炭素濃度の異なる鉄鋼標準試料の分析を行った結果、マイクログラム量以下の炭素の定量が容易に行えることが確かめられた。また、荷電粒子放射化は東京大学原子核科学研究センターのSFサイクロトロンにおいて実施した。まず試料の照射システムを完成させ、シリコン半導体中の窒素の定量に本分離測定法を利用した。窒素の定量には^<14>N(p,α)^<11>C反応を利用できるため、光量子放射化分析と同様^<11>Cの分離システムをそのまま用いた。従来の赤外分光法の分析の校正計数はFZシリコンには適用できるが、CZシリコンには使えないことが分かった。
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