研究概要 |
多次元クロマトグラフィーを可能にする固定相の開発のため、分子インプリント法と、固定相の表面修飾法の二種類の方法について独立に検討を進めた(平成9年度)結果,分子インプリント法と固定相の表面修飾法の組み合わせにより,研究の目的とする多機能な多次元液体クロマトグラフィー用固定相調製の可能性が示された。 このことを受けて,分子インプリント充てん剤を種々調製すると同時に,その細孔構造を化学的,かつクロマトグラフィー的に精密に評価し,さらには,外表面に新たな温度応答性ポリマー相,もしくは,親水性相を導入し,既存固定相では見られない複雑な化合物群の実際的分離に適用することで機能の評価を行った。 その結果,以下の点が明らかとなり,目的を充分に達成することが出来た。 1 実際に用いる鋳型分子だけではなく,構造や分子サイズの類似した化合物まで擬似的に認識することができる新しい分子インプリント法(溶媒インプリント)が可能であることを世界で初めて明らかにし報告した。 2 溶媒インプリントでは,生体に対してより毒性の高いといわれている毒物に対する選択的認識が見られ,これは認識サイトの生体レセプター類似性に基づくものであることをダイオキシンやPCBを用いた実験により明らかにした。 3 薬物を鋳型分子にする分子インプリント法において粒子の外表面を親水性化することに成功し,血中の薬物の直接かつ選択的認識に応用できることを示した。
|