研究概要 |
電導性ポリマーはエネルギーなどの分野で応用が期待されている機能性材料であるが,分離や分析化学への応用はまだ進んでいない.この研究では電導性ポリマーをコロイド微粒子化することにより,その機能性を分離濃縮に応用することを目的としている 1) イオン交換体,マイクロカプセルとしての機能評価電導性ポリマーは還元により内部に含まれるイオン性化合物(ドーパント)を放出する.この性質を利用してイオン性物質の取り込み,放出を溶液中の電位により制御できる.しかし実際には,コロイド粒子を完全に還元することは出来なかったので,固定ドーパントを合成時に最初から組み込んだコロイドを作成して,完全放出を行った. 2) 分子認識機能の組み込み 電導性ポリマーは合成時にドーパントと呼ばれる陰イオンを自動的に取り込む.従って,このドーパントに機能性があれば,ポリマー粒子にその機能性を簡単に組み込むことが出来る.この考え方に基づき,アミノ酸の光学異性体の選択的認識,取り込みを研究した.アミノ酸の光学異性体認識機構として,ここでは銅三元錯体,Molecular Imprinting法を検討した. 銅三元錯体として,まずCBZ-L-アスパラギン酸イオンを立体選択的配位子としてドープしたコロイドを作成した.結果としてL体のアミノ酸は約60%,D体のアミン酸は約10%程度コロイド内に捕捉され,立体化学認識機能が組み込まれたことが分かった.Melecular Imprinting法としてはアミノ酸をドープしたポリマーをまず合成し評価を行い,実際にこのポリマーが光学異性を認識することが分かった.
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