研究概要 |
非水溶液を用いるキャピラリー電気泳動(CE)による環境科学関連物質の分析を中心に,非水系CEによるキラル分離,水系CEによるキラル分離におけるシクロデキストリン(CD)誘導体の純度の効果,光学活性除草剤のキラル分離におけるCEと質量分析法(MS)のオンライン結合(CE-MS)による分離検出,新規光学活性界面活性剤を用いるミセル動電クロマトグラフィー(MEKC)によるキラル分離,ダイオキシン類縁化合物のオンライン濃縮法を用いるMEKCによる高感度分析の可能性などについて検討した。 1. 非水系CEにおいて使用する有機溶媒として,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド(DMSO),アセトン,テトラヒドロフラン(THF)などが有効であることを見出した。 2. β-CD/DMSOまたはホルムアミド系で除草剤成分やダンシルアミノ酸のキラル分離が達成された。 3. OD-Rポリマー(脂溶性キラルポリマー)/アセトンまたはTHF系で薬物成分のキラル分離が達成された。 4. 市販のジメチルβ-CDの純度について検討し,メチル化の度合いとキラル識別能との関係を調べた。 5. CE-MSによる光学活性除草剤成分のキラル分離・検出について検討し,β-CD誘導体を用いた条件下で3種類の除草剤成分の相互・キラル分離とMS検出を達成した。 6. 新規に合成された酒石酸およびグルコース由来の光学活性界面活性剤を用いるMEKCにより,いくつかの鏡像体の分離が可能であることを明らかにした。 7. オンライン試料濃縮を利用するCD修飾MEKC(CD-MEKC)によりダイオキシン類の高感度分離分析を達成した。 8. キャピラリー電気クロマトグラフィーの基礎的性質についての知見を得るため,キラルな固定相を用いた光学異性体分析について検討し,数種の薬物成分のキラル分離が可能であることを明らかにした。
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