研究課題/領域番号 |
09640760
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
伊村 智 (1998-1999) 国立極地研究所, 研究系, 助手 (90221788)
工藤 栄 (1997) 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 助手 (40221931)
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研究分担者 |
菓子野 康浩 姫路工業大学, 理学部, 助手 (20221872)
伊村 智 国立極地研究所, 研究系, 助手 (90221788)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | アイスアルジー / 珪藻 / 光合成 / 光化学系 / ディアディノキサンチンサイクル / 光強度順応 / RubisCO / チラコイド膜タンパク質 / Rubis CO / クロロフィルa / 光捕集色素系 / 蛍光 / アイスアルジ- / 光合成補助色素 / 光環境応答 |
研究概要 |
アイスアルジーは、海氷底部で光合成を行うために、タンパク質や脂質を低温でも高い活性を保てるように適応しているだけでなく、光合成機構全体を不都合がないように、また、その環境で最適になるように調整していると考えられる。その様なアイスアルジーが海氷底部という弱光かつ低温の環境下で光合成を行うために、どのように適応をしているのか明らかにする第一歩として、光採集系としての光合成色素組成、光化学Iと光化学IIの量比、タンパク質組成の変化を調べた。 その結果、アイスアルジーや珪藻では、光強度が弱くなるほど補色色素であるクロロフィル_C、フコキサンチンの量が少なくなった。また、光強度が小さくなるとともに、光化学系Iの光化学系IIに対する量比が著しく低下していった。これは、光化学系Iと光化学系Iが同数あると、光エネルギーの少ない環境では光化学系Iへの光化学系IIからの電子の補給が間に合わなくなるためだと考えられる。光化学系のタンパク質を見てみると、単位タンパク質量あたりでも、単位クロロフィル_a量あたりでも、生育光強度が小さくなるにつれて系Iの相対量が減少した。また、RubisCOはその相対量を大きく減らし、炭酸固定系の酵素の量まで変化させていることが明らかとなった。補助色素の一種であるディアディノキサンチン(DD)サイクルは高等植物などのViolaxanthinサイクルと同様に過剰な光エネルギーを熱エネルギーとして放散していると考えられているが、光環境の変化に応じてDT/DDの比も変化し、光強度が大きくなるとDT/DD比も大きくなった。 このように、アイスアルジーは自然環境中の光強度の変化に応じて光合成色素、中でもDDサイクルの構成色素の割合を適宜変化させて光合成系を保護するとともに、効果的な光合成を行っており、海氷底部という厳しい環境下で活発に光合成を行っていくことができる要因のひとつとなっていると考えられる。
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