研究概要 |
Spurr樹脂で包埋したダイコンの根端分裂組織を超薄切片にし銀染色して調べたところ、ヌクレオロネマの切片像には、(1)棒状の断片が積み重たった構造、(2)球状の断片が2列に並んだ構造及び(3)リング状の断片がみられた。これらの構造を構成している棒状や球状の断片の幅や直径は平均約450nmであった。これは展開試料で観察された細いヌクレオロネマの直径に近い。また、上述の3種類の切片像は「450nm幅のヌクレオロネマがコイルしている」と解釈するとうまく説明できる。このヌクレオロネマのコイル構造は、染色体のソレノイド構造を反映しているのかもしれない。細胞が分化して行くにつれてその構造が乱れて行くことが考えられる。 タマネギの切除根端を低酸素処理し,人為的にrDNA転写活性を弱めると,ヌクレオロネ内に繊維中心とよばれる電子密度の低い領域が発達することが分かった。この内部には,よく染色質様構造と径役350nmの顆粒が存在した。抗DNA抗体によるイムノゴールド法, RNase-goldラベル法色々な電顕ヒストケミストリーによって,繊維性成分に分散していたrDNAが転写活性の低下とともにFCに染色質様構造として構築されてゆくことが示唆された。このとき,rDNAに会合した酸性タンパク質が350nm顆粒としてFC内に放出されるものと考えられる。このように細胞の分裂や分化の過程でみられるヌクレオロネマの3次元構築の変遷はrDNAの転写活性を強く反映していることを示している。
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