研究概要 |
本研究において、テッポウユリの雄原核に特異的あるいは豊富に存在する5種類のヒストン変種はいずれも明らかな局在を示したことから、こうしたヒストン変種がテッポウユリのみならずクロマチンの形態や機械分化に深く関わっている可能性が示された。 1.減数分裂基の動原体に局在するヒストン変種(mH1) mH1に対する坑血清を用いて、減数第一分裂前期における相同動原体の融合・解離、後期における姉妹動原体の不分離、第二分裂後期における姉妹動原体の分離、さらには動原体と微小管との結合過程を可視化できた。このように、mH1は動原体に局在し、減数分裂に特異的な染色体の分配に機能している可能性が示された。 2.核小体(仁)に局在するヒストン変種(gH1) gH1に対する坑血清は、テップウユリの体細胞核の核小体を特異的に染色するだけでなく、他の植物種の核小体をも同様に染色する。このことから、核小体クロマチンの特異性が示唆される。ただし、gH1は花粉では雄原核に局在している。 3.雄原核に局在するヒストン変種(gH2A,gH2B,gH3) 3種類のコアヒストン変種に対する坑血清はいずれも雄性配偶子核(精核・雄原核)を特異的に染色する。ところが、これらのヒストン変種の遺伝子を体細胞の導入したところ、核ではなく核小体への移行が顕著にみられたことから、2の結果と併せて高度に凝縮している雄原核クロマチンと核小体クロマチンの類似性が示唆された。
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