研究課題/領域番号 |
09640811
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
動物生理・代謝
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
矢澤 徹 (矢沢 徹) 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (30106603)
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研究分担者 |
桑澤 清明 (桑沢 清明) 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10015589)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
400千円 (直接経費: 400千円)
1998年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
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キーワード | 甲殻類 / 心臓 / セロトニン / ドーパミン / 5-HIAA / HPLC / ノルアドレナリン / テレメトリー / 血液 / アメリカザリガニ / アメリカンロブスター / 行動 / モノアミン / アミノ酸 / 神経伝達物質 / 威かく行動 / ホルモン |
研究概要 |
動物の心が体内の物質濃度に反映される。無拘束甲殻類でリアルタイム血液ダイアリシス心臓テレメトリーを行う目標をたてた。 甲殻類では、脳内物質のリアルタイム分析はおろか、血液中の物質変動解析すら試みられていない。神経伝達物質の血中濃度そのものが十分研究されていなかった。 動物の心理状態に対応させて血中の物質濃度の変動をとらえることに成功した。アメリカザリガニでセロトニンが、アメリカンロブスターでドーパミンが、威嚇行動あるいは闘争行動にともなって血中に放出されていることが明らかになった。また、多くの物質について平均的な体内濃度そのものを明らかにした 。また、テレメトリーのために0.2mmのステンレス線埋め込み電極による心臓神経の活動記録を工夫した。海水中の動物からのテレメトリー送信は本計画の2年度目の現在、作業続行中である。 アメリカザリガニとアメリカンロブスターを用い、闘争姿勢をとりつづける個体および氷痲酔をした個体から採血し、各種神経伝達物質の濃度を分析し、行動との関係を解析した。アメリカザリガニとアメリカンロブスターの違いも明らかにした。 アメリカザリガニを、30分間氷痲酔したあと、および刺激し興奮させ威嚇姿勢を10分間継続させたあと、動物の行動と連関して濃度が変化した物質はセロトニンとその代謝産物(5-HIAA)であった。セロトニン濃度は(単位pg/10ul): 氷痲酔時5.3+-1.0と興奮時17.3+-3.0、5-HIAA濃度は:氷痲酔時71.1+-14.5と興奮時29.8+-14.1であった。モノアミン平均血中濃度は(単位ug/l)、20NE、3HVA、アミノ酸平均血中濃度は(単位mg/l),0.01 GABA、6アスパラギン酸、12グルタミン酸であった。アメリカンロブスターでは、セロトニンおよびその代謝産物である5-HIAAは測定限界を下回った。個体ごとに痲酔時と興奮時とを比較した結果常に興奮時のドーパミンが痲酔時のドーパミンより有意に増加した。 鋏を挙げて威嚇する興奮時に、アメリカザリガニは血中セロトニンレベルを、アメリカンロブスターはドーパミンレベルをあげた。アメリカザリガニではセロトニンレベルの上昇がセロトニン代謝産物の5-HIAAレベルの下降をともなった。一方、アメリカンロブスターではドーパミンレベルの上昇が、ドーパミン代謝産物HVAの上昇をともなわなかった。神経伝達物質分子が必ずしも中枢神経系由来ではないので、心理状態を反映しているらしいドーパミンやセロトニンの今回の検出は、中枢神経機能以外の点で、例えば代謝経路の点で、検討されなければならない.
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