研究概要 |
本研究では,日本国内(北海道,東北地方,関東地方,中部地方,近畿地方,中国地方)でハネカクシの調査を行った.そして,それらの調査で得た標本と従来から手元にある標本等を合わせて利用し,ヒメキノコハネカクシ属ハネカクシ等の分類学的研究を行った.雄交尾器の構造を詳しく比較することによって,日本列島に固有に分布するヒメキノコハネカクシの14新種および2新亜種,南西諸島および台湾に分布する新種を1種発見し,それらの記載を行った.加えて,日本列島に固有のヒメキノコハネカクシの既知種を2種,および東アジアに固有の既知種1種,再記載した. ハネカクシの分布様式は,通常,東日本型,西日本型,南西諸島型,広域分布型の4タイプに分類できるが,今回発見されたヒメキノコハネカクシ属に属する15新種を,分布様式から見てみると,東日本型(1種),西日本型(6種),南西諸島型(6種),広域分布型(2種)となった.私は以前日本列島に固有のハネカクシの分布の成立に関する仮説を立てたが(Naomi,1991,Bulletin of the Biogeographical of Japan,Volume 46:1-20),今回得られた上述のヒメキノコハネカクシの分布資料が,私の仮説を支持するかどうかについて議論した. メダカハネカクシ属ハネカクシに関しては,雄後尾器の形態について,詳しく調べた.その結果,S.indubius種群に属する2新種が関東地方から,S.syugen種群に属する2新種が中部地方から,発見された.これらの新種は,近い将来記載する予定である.
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